アンサンブル九条山・2回目のスペクトル楽派特集。フランス現代音楽の旗手、ジャン=リュック・エルヴェへの委嘱新作初演を、ぜひお聞き逃しなく!
1970年代のフランスに、ジェラール・グリゼー、トリスタン・ミュライユら若い音楽家を中心とした、新しい現代音楽の潮流が生まれた。スペクトル楽派と呼ばれる彼らの用いる特徴的な音響として、倍音構造をコンピュータ解析・再構築して得られる多彩な響きがある。それは洗練された美しい楽音だけでなく、荒々しいノイズとの間をも往き来し、人間の根源的な知覚を揺り起こす旅へと誘う。
スペクトル楽派第二世代に当たるジャン=リュック・エルヴェは、1960年生まれ。日本文化から多大な影響を受けている彼の作品は、2000年にヴィラ九条山レジデントとして京都に滞在した経験から、更なる豊かさと広がりを見せている。アニミズム文化特有の環境との関係をモデルとした音の拡散システム《Biotope》や、借景の概念からインスパイアされた《Germination》などには、日本庭園・建築における内と外の境界感覚が色濃く反映されている。四季の移ろいを感じるように「音色」そのものに敏感な日本の土壌は、しばしば自然から題材を得るエルヴェの作品と親和性が高い。
初回の協働から7年を経たアンサンブル九条山との二度目の公演にあたり、彼が新作の題材に選んだのは能「老松」である。松の精の物語は、エルヴェの感性を通し、どのような音楽作品に仕上がるのか。期待が高まる。
本公演では、更に多様な受容を経て引き継がれていく若い世代の作品も交え、現代の作曲に多大な影響を与え続けるスペクトル楽派の、およそ50年にわたる系譜を俯瞰していく。
◆日時
2025年11月30日(日)16:00 開演
◆会場
南館 太陽ファルマテックホール(全席自由)
高槻城公園芸術文化劇場 南館1F(高槻市野見町6-8)https://www.takatsuki-bsj.jp/ tat/
◆プログラム
ジェローム・コンビエ:石の煙 flûte, clarinette, piano, violoncelle《日本初演》
ジャン=リュック・エルヴェ:#4(…音は廻(めぐ)る)flûte basse, électronique《日本初演》
トリスタン・ミュライユ:沈みゆく太陽の13の色 5つの楽器のための
ジャン=リュック・エルヴェ:四方の草木も靡くかと 7 musiciens, électronique《アンサンブル九条山委嘱作品:世界初演》
サミール・アマルッシュ:エクスポジションⅠ clarinette《日本初演》
ジェラール・グリゼー:タレア flûte, clarinette, violon, violoncelle, piano
※曲目・曲順は変更になる場合がございます。あらかじめご了承ください。
作曲・電子音響/ジャン=リュック・エルヴェ
指揮/夏田昌和
演奏/アンサンブル九条山
太田真紀(ソプラノ)
若林かをり(フルート)
上田 希(クラリネット)
石上真由子(ヴァイオリン)
福富祥子(チェロ)
畑中明香(打楽器)
森本ゆり(ピアノ)
牛山泰良(ゲスト/電子音響)
◆チケット料金
一般:前売4,000円 当日4,500円
学生:前売1,000円 当日1,500円
アンサンブル九条山公式予約フォーム 予約受付中
⚫︎お問い合わせ
アンサンブル九条山
tel 090-1710-6597
e-mail e.kujoyama@gmail.com
主催:アンサンブル九条山
共催:高槻城公園芸術文化劇場
後援:ヴィラ九条山 日仏現代音楽協会
助成:笹川日仏財団、大阪府芸術文化振興補助金事業、フランシス&ミカ・サラベール財団
作品提供:Émilie Brout & Maxime Marion, A Truly Shared Love, 2021
※このコンサートはサントリー芸術財団佐治敬三賞推薦コンサートです。
※本公演はフランシス&ミカ・サラベール財団の助成を受けています。