第一線で活躍する講師による日仏現代音楽協会の公開講座、今回のテーマは《ミクスト音楽》です。
ミクスト音楽とは、アコースティック(生楽器)とエレクトロニクス(電子音響)を組み合わせた音楽を指し、現代音楽の一形態として欠くことのできない重要な位置を占めています。今回のレクチャーでは、その歴史的背景を資料を交えながら紹介し、さらにミクスト作品の実践的な創作プロセスについて考察します。
講師を務める佐原洸さんは、パリ国立高等音楽院およびIRCAM(フランス国立音響音楽研究所)で研鑽を積んだ気鋭の作曲家であると同時に、100曲あまりのミクスト作品の実演に携わってきた、この分野のスペシャリストです。
さらに今回は、ライヴ・エレクトロニクス作品の豊富な演奏経験を持つヴァイオリニストの河村絢音さんをゲストに迎えて、さまざまなミクスト作品を会場にて実演していきます。ミクスト音楽の歴史と創作プロセス、そしてその実演に間近で触れられる、たいへん貴重な機会です。
本講座には、知識や経験にかかわらずどなたでも自由にご参加いただけます。ミクスト音楽や最新の現代音楽に関心を持つ音楽家・愛好家・学生の皆様、ぜひ足をお運びください。
日時:10月12日(土) 15:00開始(14:45開場予定)
108-0073 東京都港区三田1-3-39-1F
出演:佐原洸 (作曲、コンピュータ音楽デザイナー) 河村絢音 (ヴァイオリン)
内容(休憩を含めて約2時間を予定)
第1部:演奏、レクチャー
冒頭で1曲ミクスト作品の演奏を行ったのち、ミクスト音楽の歴史的な背景と実践的な創作プロセスについて、資料を交えて講演する。
第2部 : 演奏、質疑応答
様々なシステムのミクスト作品を実演し、本講演や演奏作品に関する質疑応答を行う。
演奏曲(予定)
ルイス・ナオン|《カプリスⅠ》《カプリスⅡ》(2008-09)
佐原洸|《デュオ》 (2019/21)
青柿将大|ヴァイオリンとエレクトロニクスのための《Soli 2》(2023)ほか
参加費:一般 3000円|学生 2000円(要予約)
専門的な知識の有無に関わらず、興味のある方はどなたでもご参加いただけます。
ご予約:
お問い合わせ:日仏現代音楽協会事務局
【出演者プロフィール】
佐原 洸 Ko Sahara
東京音楽大学、東京藝術大学大学院、パリ国立高等音楽院(CNSMDP)第一課程、第二課程の作曲専攻をそれぞれ卒業、修了。2019年度フランス国立音響音楽研究所(IRCAM)作曲研究員。
第29回現音作曲新人賞富樫賞受賞(2012)。第82回日本音楽コンクール入選(2013)。2012年8月東京文化会館小ホール、2014年3月トーキョーワンダーサイト、2017年9月エスパス・ベルタン・ポワレ(パリ)において作曲個展が開かれ好評を博す。作品はEnsemble Intercontemporain、アール・レスピラン、Camerata Stravaganza、Ensemble IJ Spaceなどの団体によってアジア、ヨーロッパ各国で演奏される。これまでに作曲を岡島雅興、池辺晋一郎、原田敬子、細川俊夫、野平一郎、フレデリック・デュリユーの各氏に師事。仏BabelScoresより作品の一部が出版されている。
パリ国立高等音楽院在学中の2017年より器楽と電子音響のために書かれた作品における電子音響パートの演奏活動を開始。C×C 作曲家が作曲家を訪ねる旅 Vol.3 山根明季子×ジョン・ケージ(神奈川県民ホール)「新しい視点」紅葉坂プロジェクト Vol. 1(神奈川県立音楽堂)、フェニックス・エヴォリューション・シリーズ(ザ・フェニックスホール)、〈現音 Music of Our Time 2021〉「ペガサス・コンサートVol.III」(東京オペラシティリサイタルホール)などの演奏会に参加し、これまでに約100曲の器楽と電子音響のための作品の演奏に携わる。
SPAC-E、
kasane主宰。洗足学園音楽大学非常勤講師。
河村絢音 Ayane Kawamura
2015年桐朋女子高等学校音楽科を卒業後、渡仏。パリ国立高等音楽院第一(学士)課程を飛び級で卒業し、仏国家演奏家資格DNSPMを取得。フランス政府給費留学、文化庁新進芸術家海外研修などの助成を受け、同音楽院第二(修士)課程、第三課程アーティスト・ディプロム現代音楽演奏科、フランクフルト音楽大学大学院修士課程を修了。2022年に帰国し、東京藝術大学大学院音楽研究科博士後期課程を修了し、博士(音楽)を取得。現在、東京藝術大学専門研究員。これまでに、欧州の主要な現代音楽フェスティヴァルや「サントリーホールサマーフェスティバル2023『室内楽ポートレート』」、神奈川県民ホール主催「C×C」などで演奏する他、パリ管弦楽団、アンサンブル・アンテルコンタンポランでの賛助出演、ライヴ・エレクトロニクスとの演奏、多数の初演に携わる。また、2024年にMeyer財団後援の仏レーベル「INITIALE」より、CD 「Le Violon augmenté 拡張するヴァイオリン」をリリース。ヴァイオリンとライヴ・エレクトロニクスのための作品に関する研究を行い、日本音楽学会にて研究発表を行う他、この分野の可能性の提案・探求を目的に演奏グループ「
kasane かさね」を主宰し、サントリー芸術財団佐治敬三賞推薦コンサートや神奈川県立音楽堂主催「新しい視点」に抜擢されるなど、精力的に活動している。