ストラスブール国立音楽院教授でいらっしゃり、ニースの夏期アカデミー他でも講師を務められる真理さんは、ご自身の演奏活動と並行して後進を育む教育活動にも熱心に取り組まれています。日本でのマスタークラスもこれまでに何度もされていますが、今回は初めて私たち日仏現代音楽協会主催の催しとして、その実施のお手伝いをさせて頂きました。
首都圏だけではなく関西から新幹線で駆けつけた方もいらっしゃる今回の受講生の皆さんの多くは、過去に留学や講習会などで彼女の指導を受けられた経験のある新旧様々なお弟子さん達で、それはマスタークラスという真摯な学びの場であったのは言うまでもありませんが、同時に真理さんの歌とお人柄に惹かれて、また切磋琢磨を共にした仲間との再会を楽しみに津々浦々より駆けつけた「小林真理ファンの集い」と錯覚してしまいそうなアットホームで温かい雰囲気に満ちたものでした。
コンサートやオペラ公演に向けた準備や、留学を視野に入れた相談、更には自身の歌の現状チェックまでを含め、様々な目的をもってこの場に集った受講生が携えてきたのは、バッハやヘンデル、ロッシーニといった古典からフォーレやドビュッシー、プーランクなどフランスものの定番、そしてファリャやレスピーギといったラテン系諸国の近代作品をも含む様々な曲目でした。それに相対する小林さんのレッスンは発声指導や単語の発音といった基本的で且つ声楽にとっては外せない事柄から、音程やリズムの正確さという音楽の演奏には共通の諸問題、更にはテキストの音楽的な表現という声楽芸術に固有の事象に至るまで多岐にわたり、受講生のお一人が言われた「真理先生はいつも自分たちの"今"に欠けているものや取り組むべき課題を的確に見つけ出し、解決策を示して下さる」という言葉がそのまま当てはまるものだったように思われます。
二日目には真理さんの旧いご友人でコレペティとして国際的にご活躍中の三ツ石潤司さん(下の写真左奥)が遊びにこられ、受講者と共に会場近くの瀟洒なイタリアン・レストラン(真理さんご自身がその朝会場に至る道すがらいち早くチェック済み....流石に美味しいもの大好きな真理さんの嗅覚は確かです!) にて楽しい昼食のひと時を共に致しました。
また今回は協会主催の催しとして、ご自身では伴奏者をお連れにならなかった受講生の方々のためには協会が伴奏者をご紹介することとなり、会員の石井佑輔さんと瀬川裕美子さん、そして拙いながらも筆者夏田を加えた3人がその任にあたりました。(下の写真と2枚上の写真のピアニストは、それぞれ伴奏されている石井さんと瀬川さん)
真理さんはマスタークラスに先立つ10月25日に、東京シティ・フィルの演奏会形式による公演でプーランクの「カルメル派修道女の対話」のクロワシー修道院長役を素晴らしく歌われたばかりでしたが、お疲れのご様子も見せず長時間にわたり終始熱心に受講生の指導にあたって下さいました。
今回のマスタークラスではまた、受講生のお一人でもある会員の高橋淑子さん(上の写真で歌われています)がインスペクターとして会場手配や諸連絡、プログラムの作成や楽譜のコピーなど多くの事務作業をお手伝い下さいました。講師小林真理さんとインペク高橋淑子さん、伴奏者石井佑輔さんと瀬川裕美子さん、そしてご参加頂いた受講生の皆様にこの場をかりて深く感謝申し上げます。(事務局・夏田記)
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