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2020年10月25日日曜日

11/7 瀬川裕美子ピアノリサイタルvol.8『窓のあるコンポジション』~B’ ノタシオン ⇔ソナタ⇔ バガテル(協会後援情報)

★令和2年度(第75回)文化庁芸術祭参加公演
★第20回佐治敬三賞推薦コンサート
2020年11月7日(土)開演16:00 開場15:30
トッパンホール
チケット:全席自由一般2,500円(当日3,000円) 学生1,500円

プログラム
・ブーレーズ:
12のノタシオン(1945)~no.8&9 
ピアノソナタ第1番(1946)
12のノタシオン~no.6&7    
ピアノソナタ 第2番(1947~48)
・・・
・ベートーヴェン:6つのバガテル 作品126 (1823~24)
・ブーレーズ:ピアノソナタ第3番(1955~57)~トロープ~コンステラシオン—ミロワール

《チケット・問い合わせ》
トッパンホールチケットセンター 03-5840-2222  www.toppanhall.com/
セガウェイ・プロジェクト 090-1106-3302  segaway-project@nifty.com
www.yumikosegawa.com/

協力:(株)トーンフォレスト http://www.toneforest.jp/
後援:(株)松尾楽器商会 / 日仏現代音楽協会 /日本アルバン・ベルク協会 / 日本パウル・クレー協会/国立音楽大学東京同調会 / 国立音楽大学附属高等学校同窓会

11/7 秋に奏でる世界の民謡(会員演奏会情報)

●日時2020年11月7日(土) 17:30
●場所 鎌倉婦人子供会館
〒248-0006 鎌倉市小町1-11-5 
 ℡ 0467-22-0507

●出演 小林真理 メゾ・ソプラノ   田中恭子 ハープ

●プログラム
ガルシア・ロルカの古いスペインの歌
ベンジャミン・ブリテンのイギリスの民謡
モーリス・ラヴェルの2つのヘブライの歌
伊福部昭 アイヌの歌
モーリスラヴェルの5つのギリシャ民謡

●チケット代 3000円(事前に事務局までお申し込みください)
●事務局 安江優子
お申し込みは  03-3705-4413  (安江) 
E-Mail    yukominchin@gmail.com

2020年7月21日火曜日

フランス6人組結成100周年記念ミニ・コンサート&ライヴ配信(協会共催事業)

フランス音楽の系譜において、ドビュッシー&ラヴェルの世代と、メシアンやジョリベの世代を繋ぐのが、主に両大戦間に活躍したミヨーやオネゲル、プーランクら「フランス6人組」の作曲家たちです。その結成と命名から丁度100年目に当たる今年2020年の8月に、両国門天ホールと日仏現代音楽協会の共催で記念のミニ・コンサートを催し、その模様をライヴ配信致します。プログラムは、前半に6人組が1920年に共同制作したピアノ組曲「6人組のアルバム」と、同じ年に若きオネゲルとミヨーが書いた2作品を演奏し、後半では当時としては珍しい女流作曲家だったタイユフェルや、6人の中で一番の人気作曲家であるプーランクの歌曲やピアノ曲を中心にお届けします。演目に”Pastoral”(牧歌・田園詩)が3曲も含まれる、夏らしい選曲によるひとときをお楽しみ頂ければ幸いです。


出演:中村香織(声楽家・協会会員)、大須賀かおり(ピアニスト・協会会員)、瀬川裕美子(ピアニスト・協会会員)
司会・解説:夏田昌和(作曲家・協会会員)

プログラム
・6人組「6人組のアルバム」(1920)
・オネゲル「夏の牧歌」*ピアノ連弾版(1920)
・ミヨー「ブラジルへの郷愁より第1、第6、第8曲」 (1920)
・オーリック 「ムーラン・ルージュ」(1952)
・タイユフェル「インカの牧歌」(1931)
・プーランク「モンパルナス」(1941)
・プーランク「ハイド・パーク」(1945)
・プーランク「即興曲第7番」(1932)
配信チケット料金:1000円(税込)
配信チケット受付:ZAIKO    https://monten-live.zaiko.io/_item/328262
・チケット購入期限:8月16日(日)15:15(開演後15分まで)
・事前にZAIKOへのアカウント登録が必要です。ZAIKOトップページからログイン画面に進みアカウントを作成してください。
・チケット購入時の応援投げ銭や、ライブ視聴中の投げ銭も可能です。
・支払い方法に応じ手数料がかかる場合があります。
・チケット購入後、ZAIKOより届く確認メールに記載された【配信への直接リンク】よりアクセスしてください。
・あるいは、ZAIKOトップページからログイン後【購入済みチケット】ボタンをクリック、チケットを選択してアクセスすることも可能です。
・配信開始時間(開演時間の15分前)になりましたら上記方法にてアクセスしてください。開演時間より上演映像のライブ配信が始まります(始まらない場合はブラウザの再読み込み機能をお試しください)。
・視聴方法の詳細(配信チケット購入・使用方法):https://zaiko.io/support?cid=40#faq-372


限定入場料金(10人限定・要予約):一般2,500円、学生・門天会員2000円(税込)
限定入場予約:両国門天ホール
電話/FAX:03-6666-9491(電話は平日の13:00〜17:00)
メール:ticket@monten.jp (@は半角に直してください)
・定員に達し次第受付を終了します。
・予約時にご案内する新型コロナウィルス感染症対策へのご協力をお願いします。

問い合わせ:両国門天ホール(上記に同じ)

企画構成:夏田昌和
主催:一般社団法人もんてん
共催:日仏現代音楽協会
映像配信:株式会社わっしょい

*   *   *

中村香織 Kaori Nakamura
東京音楽大学及び同大学院修了。声楽を野村陽子、芹沢文子の両氏、モーツァルテウム音楽大学(オーストリア・ザルツブルグ)のアカデミーにてグレイス・バンブリー氏に師事。在学中特待生として研鑽を積む。東京音楽大学声楽助手を経て、国際ロータリー財団奨学生として渡仏。フランス国立ストラスブール音楽院修了。小林真理(声楽)フランソワーズ・キュブレ(現代音楽)クリスティーヌ・フォン・シャイデ(身体表現)アルモン・アングステール、ドゥニ・デルクール(室内楽)の各氏に師事。各時代の音楽様式、声楽のバリエーション、多言語の作品を研鑽する機会に恵まれた。MUSICA等の演奏活動、アルザス地方の音楽学校声楽講師を経て帰国。第41回フランス音楽コンクール声楽部門第2位。2012/13年京都フランス音楽アカデミー声楽クラス通訳。山梨英和高校フランス語及び甲斐清和高校音楽科声楽講師。東京工業大学(GSEP融合理工学系国際人材プログラム)にて音楽の探求講義を展開している。日仏現代音楽協会会員。

瀬川裕美子 Yumiko Segawa
1986年東京生まれ。国立音楽大学附属幼稚園から、小、中、高を経て国立音楽大学鍵盤楽器ピアノ専修を首席で、同科ソリストコースを最優秀で卒業。第7回ショパン国際ピアノコンクールIN ASIA大学生部門金賞受賞。2013年より定期的にリサイタルを東京文化会館小ホールやトッパンホールにてバッハからショパン、フランス近現代、邦人委嘱作品まで、コンセプチュアルなプログラムで7回開催。特にvol.5からは画家パウル・クレーの作品、造形思考を下地に音楽思考と結びつけながらどう生の音響空間を共有できるのか実験的な試みをしている。今秋はBoulezピアノソナタ全曲リサイタルのCD発売と共にリサイタルを予定している。これまでにCD4枚をリリースし、「レコード芸術」誌 準特選盤をはじめ、日経新聞電子版、「MUSIC BIRD」等、多数のメディアで紹介される。東京フィル三浦章宏氏をはじめ、弦や管楽器のリサイタルで共演。故礒山雅氏と《ゴルトベルク変奏曲》レクチャーコンサート他、音楽と他分野の芸術と連関させた独自のレクチャーも展開。 静岡音楽館AOI「ピアニストのためのアンサンブル講座」受講生として野平一郎氏に師事。日仏現代音楽協会会員。日本アルバン・ベルク協会会員。http://www.yumikosegawa.com/

大須賀かおり Kaori Ohsuga
桐朋学園大学音楽演奏学科卒業、同大学アンサンブルディプロマコース修了。第9回日本室内楽コンクール第2位。2001年にデュオ「ROSCO」を甲斐史子(Vn)と結成、第5回現代音楽演奏コンクール競楽V優勝、第12回朝日現代音楽賞、2003年度青山バロックザール賞受賞。ソロリサイタルやオーケストラとの共演、内外の国際音楽祭への出演を重ねる傍ら、mmm… 、KOHAKU(ORIGAMI)、リレーション’70といったグループの一員としても意欲的な活動を展開してきた。多くの作曲家の作品初演やCD録音に携わり、これまでの初演数は300曲を超える。ジパングレーベルより4枚のアルバムと楽譜集をリリース。日仏現代音楽協会、日本・フィンランド新音楽協会会員。桐朋学園芸術短期大学、東京成徳短期大学、弥栄高校芸術科非常勤講師。http://kaoriohsuga.com/

夏田昌和 Masakazu Natsuda
1968年東京生まれ。東京芸術大学大学院修了後、渡仏。パリ国立高等音楽院にて作曲と指揮を学び、審査員全員一致の首席一等賞を得て同院作曲科を卒業。作曲を野田暉行、永冨正之、近藤譲、Gérard Grisey、指揮を秋山和慶、Jean-Sébastien Béreau、伴奏法をHenriette Puig=Rogetの各氏に師事。芥川作曲賞や出光音楽賞をはじめとする受賞や入賞、入選多数。フランス文化省やサントリー音楽財団、アンサンブル・アンテルコンタンポランを始めとする数多くの公的機関や演奏団体、ソリストより委嘱を受けて書かれた作品は、世界各地の様々な音楽祭や演奏会にて紹介されている。指揮者としては邦人作品の初演や海外現代作品の紹介に数多く携わり、グリゼイの《Vortex Temporum》や《境界を越えるための4つの歌》の日本初演も指揮した。指揮者の阿部加奈子と共に日仏現代音楽協会を設立して初代事務局長を務め、その後も同協会を通じて様々な教育プログラムや演奏会・シンポジウム等の企画・運営に携わっている。2013年に東京オペラシティ・リサイタルホールにて大規模な室内楽個展が開催された他、ジパング・プロダクツよりCD「先史時代の歌〜夏田昌和作品集」をリリース。

2020年1月3日金曜日

2/14,15 第13回小林真理声楽マスタークラスのお知らせ&レポート(協会主催事業)

毎年恒例となっております、ストラスブール音楽院教授の小林真理先生による声楽マスタークラス、2020年の開催日が決定いたしました。
本場フランスでも高い評価を受ける小林先生の明晰かつエネルギーに満ちたレッスンを、この機会にぜひ一度ご体験ください。対象はプロを目指す声楽家の方やアマチュアの方まで、幅広く対応いたします。なお今回は、レッスンを受講された方ならどなたでも出演できるコンサートも予定しております。ご興味をお持ちの方は、ぜひお早めに事務局までお問い合わせください。

日時
2020年2月14日(金) 会場未定
2020年2月15日(土)  芸術家の家ホール(JR目黒駅東口より徒歩7分)

対象
受講生
- 声楽を専門的に学ばれている方
- フランス歌曲やフランス語オペラを学ばれたい方
- 声楽分野でフランスへの留学を希望されている方
- フランスにおける声楽教育を体験されたい方
- 声楽の初心者やアマチュアで学ばれている方

聴講生
-専門的な知識の有無にかかわらず、興味のある方はどなたでもご見学可能です。メールにて事務局までお申し込みください。
-レッスンの妨げにならない範囲での入退場は自由です(お申し込み後に当日のタイムテーブルをお送りいたします)。

レッスン形式
- 原則としてお一人につき1時間の個人レッスンとなります。上記の日時内でご希望の時間帯を、お申し込み時にお知らせ下さい。お一人で2時間続けての受講や、複数枠の受講も可能です。
- 受講曲目は自由です。2、3曲程度ご用意下さい。事前に講師ともご相談いただけます。
- 伴奏者はご自分でお連れいただくか、協会事務局からのご紹介も可能です(紹介の場合の奏者への謝礼は、1枠につき5,000円となります)。
-受講生は、2月15日夕方から行われる試演コンサートにご参加いただけます(希望者のみ)。費用はかかりません。
-受講生は、他の受講生のレッスンも自由にご見学いただけます。

参加費
-受講料 : 22,000円(複数枠をお申し込みの場合、2枠目からは各18,000円)
-聴講料 : 2,000円(日仏現代音楽協会会員は1,500円)

お申し込み・お問い合わせ
日仏現代音楽協会事務局 tokko.chene@gmail.com


講師プロフィール
小林真理(日仏現代音楽協会名誉会員)
鎌倉市生まれ。3歳よりピアノを始め、10歳より中村浩子女史に師事し声楽を学ぶ。
1979年東京芸術大学音楽学部声楽科を卒業、同大学院修士課程に進み、1981年文化放送音楽賞受賞、第1回日仏声楽コンクールに入選、フランス音楽をより深く学ぶために留学を決意し、1982年フランス政府給費留学生としてパリ国立高等音楽院に入学、レジーヌ・クレスパン女史に師事、1987年同音学院のオペラ科を終了、1989年にはウィリアム・クリスティ氏の指導する同音学院の古典声楽科のクラスを1等賞を得て終了する。パリ国立高等音楽院に在籍中の1983年頃より数々の国際声楽コンクールにて受賞(1984年パリのフランス歌曲国際コンクールでフォーレ賞、1988年クレルモン・フェランのオラトリオ・リート国際コンクールではリタ・シュトライヒ・記念大賞)この頃よりバロックから現代音楽に至る幅広い演奏活動を始める。
1993年にはその後進学した東京芸術大学博士課程において博士論文『オリヴィエ・メシアンの歌曲研究ーハラウイを中心にー』を書き、博士号を収得する。
コンサート活動においてはピエール・ブーレーズの指揮でシャトレ劇場でハリソン・バートウィッスルの〔メリヂアン〕のフランス初演、フランス国立管弦楽団、フィルハーモニック・オーケストラと共演、オランダのコンセルトゲボー・ホールにてシェーンベルクの〔4つのオーケストラ歌曲作品22〕、佐渡裕指揮でオーケストラ・ラムルーとマーラーの交響曲第2番、現代音楽作曲家の初演は数多く、アンサンブル・アンテルコンタンポランと数度共演、ロストロポーヴィッチの指揮で小林真理のために書かれたピヨートル・モスの〔スターバート・マーテル〕、最近ではフィリップ・ルルーの新作をロレーヌ国立管弦楽団とフランスとドイツで初演、ヨーロッパのみでなく、アメリカ、東欧、オーストラリアにてもソリストとして活躍している。オペラの分野では ジェフリー・テート指揮によるベルクの〔ルル〕の女流工芸家役、プッチーニの〔蝶々夫人〕のスズキ役、モーツァルトの〔コシ・ファン・トゥッテ〕のドラベラ役、ヴィヴァルディの世界初演〔真実の証〕のルステーナ役などを演じている。
CD録音も多数に及び、モーツァルトの〔レクイエム〕、〔マニュエル・ロ-ゼンタール歌曲集〕、〔20世紀の作曲家の編曲による世界の民謡〕などがあり、最近では、フランスを代表するサクソフォン奏者、クロード・ドラングルとの〔japanese love songs〕、メシアンの〔ハラウィ〕などがある。
1999年にフランス国家教授資格を得て現在ストラスブール地方音楽院で声楽の専任教授を勤め、ニースのアカデミー他、各国でマスタークラスを行い、後進の指導にも情熱をそそいでいる。

◯受講生の方からのレポート
昨年小林真理先生のマスタークラスを受講された方々から、レポートをお寄せいただきました!参加をご検討されている方はぜひご一読ください。

《小林真理声楽マスタークラスを終えて》
毎年、真理先生のマスタークラスを心待ちにしております。
真理先生の発声の指導は、呼吸の正しい仕方から体の使い方、歌う際の息の使い方など、大変綿密に、こちらが納得するまで熱心に指導して下さいます。
大学で声楽を学んだにもかかわらず、きちんと出来てなかった事が沢山あり、新たな気持ちで歌と向き合う事が出来ました。
真理先生のおっしゃる通りに歌う事が出来た時は、喉に力が入ることが無く、楽に美しい音が出るのです。
次第にうまく歌えるようになると、とても充実した幸せな気持ちになります。
また、自分のレッスン以外にも他の方のレッスンを聴講する事ができます。真理先生のおっしゃってる事が客観的によく分かり、自分が歌うのとは別の形で学ぶことができるのは、すごくいいなと思います。
次回のマスタークラスでは、また新しい事を吸収できる事を期待しながら、日々真理先生から学んだ事を練習し続けていきたいと思います!
加藤智子

  音大を卒業して、高校の音楽教師を32年間していましたが、大学では声楽をきちんと学んだことはありませんでした。ご縁があって、良い日本歌曲の先生に出会うことができ、現役の間は1年に数回というノロノロのペースでしたが、30年以上レッスンに通っています。
  日本歌曲もすてきですが、子供の頃から、ルパンやドビュッシーが好きで、フランス音楽やフランス語の響きに魅せられて、いつかはフランス語をきちんと学び、フランス歌曲を歌えるようになりたいと思っていました。
  そんな折に、小林真理先生を紹介していただきました。好きで歌ってはいましたが、フランス歌曲をきちんと学ぶのは真理先生が初めてで、3回ほどマスタークラスを受講させていただいています。
  毎回、真理先生がご熱心に、発声や発音を教えてくださるので、とても勉強になります。無駄な力を抜いて、柔らかな声でフランス語の歌を歌えるようになりたいと思っているのですが、いつも指摘されてしまうのは、日々の練習不足です…。孫の滞在とか、仕事とか日常の雑事を言い訳にして、なかなか音楽にじっくり向き合うことができません。でも、真理先生との出会いに感謝して、フランス歌曲を細々とでもわたしのライフワークとして続けていきたいと思っています。
  いつかフランスに滞在して、フランス語やフランス文化の中で、フランス歌曲を学ぶことができたら良いな〜、というのがわたしの目下の夢です。
山崎敦子

◯こちらは、昨年夏にコルシカ島で行われたマスタークラスの様子です。

《小林真理先生マスタークラス in カレンツァーナ》
まさかコルシカはモンテグロッソの麓、カレンツァーナ村の教会で歌うことができるなんて思ってもみなかった。17世紀末にローマ人建立の聖地の跡地に建て直されたというこのイタリアンバロック式のSaint Blaise教会で。。正直内装は少々痛んでおり、壁にかかる絵画も埃をかぶった感は否めないのだが、毎年8月カレンツァーナ音楽祭で世界を舞台に活躍する音楽家たちがこの場所で、まさにこの教会で天にも昇るような素晴らしい音楽を奏でることに間違いはない。
私がここで歌えたのは、もちろん小林真理先生のおかげである。
先生による現地でのマスタークラスの最後にこの夢のような機会を得たのだが、そのマスタークラスについて記してみたい。
小林先生によるフランス国内でのマスタークラスに参加するのは今回で4回目。毎回5日~7日間現地に滞在し、午前中は発声の基本、午後は課題曲のレッスンが続く。毎日合計1時間程のレッスンなのだが、これがなかなかの重圧感だ。こう言うと語弊があるかも知れないが、もちろんそれは先生からの圧ではなく(!)、自分自身と向き合わざるを得ないという試練から来る。「舌に力を入れない」「喉は開いて下げる」「頬上部を上げる」「口は開きすぎず、しかし音の高さにより開いていく」「息を回しながら歌う」・・・一音出すのに一度にやらなければならないことが多すぎる。それらに加えて歌詞をレガートに回していく難しさ。イタリア語、フランス語、ドイツ語、、各国語により発音のポイントは異なる。もちろん表現のことも言い出したら切りがないのは明白だ。
意識すべきことをすべて意識するが意識しすぎてはいけない。力を入れすぎてはいけないが力を入れないと声は出ない。このようなことだけを考えだすと、案の定声は出ない。考えすぎてはいけない。しかし程良い意識は必要だ。考える、考えない、考える、、、研修中は自分の中でこのやりとりだけが毎日繰り返される。
普段は会社でひたすらメールを裁くことに時間を費やしているせいか、このように自分と向き合うだけの時間はとてもしんどい。たまに逃げ出したくなる。しかしちょっと考えてみたまえ、この時間は何という贅沢な時間なのだろう!
ふとレッスン室から一歩外に踏み出せば、下方に広がる海の紺碧色に心震え、乾いた空気に響く教会の鐘の音に時を感じ、近くの手作りクッキー工場の甘い香りに子供の頃を思い出したり、、、ここカレンツァーナでは眠っている五感がこれでもかというぐらい覚醒される。そうだ、自然に身を任せればいいのだ。そう、ある時から私はこの自由な感覚に身をゆだねることができるようになっていた。
小林先生のレッスンを受け始めた初めのころは緊張から体がこわばり、震えだし思うように声を出すことができなかった。習うことと逆のことをいつもしてしまっていた。もちろん今でもそれを克服できたとは言えない。
しかし、自然の中でレッスンを受ける機会を重ねるごとに、体が自由に開き始めてきた感がある。それは大自然の中に何のわだかまりもなく体をゆだねる喜びを自覚したからではないだろうか。そのような状態で初めて学びを受けいれ、体の中に入れることができるのかもしれない。理屈では語れない、とてつもなく偉大なる自然の力がそこに存在している。体を開き、学びを受けいれる。それは音楽だけではなく、人生にも必要なことだ。私は音楽を通して、その尊い力を学んでいる。そして、一生学び続ける。
最後にこの場をお借りし、辛抱強く深い教えを惜しみなく与え続けて下さる小林真理先生に、そしていつも温かく、力強い励ましをくださる高橋淑子さんに、心から感謝の気持ちをお送りします。
チェチリア真知子

《Les Rencontres de Calenzana 〜 
小林真理先生のマスタークラスに参加して》

 2019年8月17日から8月22日の6日間、私はフランス・コルシカ島北部のカレンツァーナという、小さなしかし美しい町に赴きました。目的は、第19回目を迎えた《Les Rencontres de Calenzana》音楽フェスティバルに参加し、小林真理先生のマスタークラスを受講するためです。
 今年のマスタークラス受講生は7名。皆が17日初日にカレンツァーナで現地集合でした。レッスン会場(町役場の一室!)に到着するや否や、真理先生との再会の挨拶もそこそこにレッスン開始です。慌ててスーツケースを傍らに置き、レッスンモードにスイッチを切り替えました(笑)。
 レッスンは毎日、午前と午後に1回ずつあります。午前は発声とボーカルテクニックを中心としたフィジカルについて、そして午後は各々が持参した歌曲やオラトリオ、オペラアリアといった作品の解釈や、言語の発音を中心に据えて音楽作りのレッスンです。全てのレッスンを聴講しますので、受講生は自分の目前の課題以外も学び取ることができます。加えてお互いの日々の進歩、作品がピカピカに仕上がっていく喜びも共有していくことができるのは、合宿型マスタークラスの良いところではないでしょうか。
 カレンツァーナでのマスタークラスの魅力は、レッスンだけではありません。食事の素晴らしさは、他に比類なきと言えます!私たち受講生はホテルに宿泊せず、町の民家にお世話になりました。お留守中の住宅を貸していただき、自分の家のように自由に使わせていただくのです。朝食代わりのお菓子とお茶が用意されていました。昼食と夕食はフェスティバル参加者のために毎日素敵なパティオで用意されるのです。昼食はビュッフェ形式、夕食はコースで前菜・サラダ、メインディッシュ、デザートがふんだんに振る舞われました。そうそう、美味しいワインも欠かさず。滞在中、同じメニューが出てきたことはなく、全てコルシカ島地産地消、食材も豊富。毎日の楽しみの一つだったことは言うまでもありません。
  カレンツァーナは山登りの拠点の町でもあり、海辺の空港カルヴィの街から車で20分ほど上った所に位置していますので、海を眺望しながら、岩山の風景をバックにビールを一杯、などという夕暮れの過ごし方もできるのです。夜空の星の美しさも、一体何等星までの輝きが見えているのだろうと、目を疑うほどでした。
  最終日はコンサートで締めくくりました。会場は町の中心にある、サン=ブレーズ教会でした。真理先生も司会進行をしながら、私たち受講生とともに歌を披露してくださいました。コンサートは、今年がオッフェンバックの記念年であることから、「フランスのオペラ、オペレッタ」をテーマに、マスタークラスの成果を披露しました。ちなみに、私は今回メサジェの作品を初めて歌わせていただきました。他には、グノー、ビゼー、ドリーブ等。真理先生の曲紹介は、聴衆の聴きたい気持ちを盛り上げ、聴衆の皆さんは、歌う私たちの気持ちを支える雰囲気を作ってくださいました。もう一つ書き加えなければならないこととして、なんと、パリ高等音楽院ピアノ教授ドゥニ・パスカル氏がピアノを担当してくださったことがあります。私たち受講生は素晴らしい教会で、素晴らしいピアノに支えられ、本当に幸せな時を過ごし、マスタークラスを終えることができました。
 コルシカ島は素敵なところよ、と真理先生からずっとずっと聞いており、やっと念願叶った2019年の私の夏。真理先生とともに過ごした音楽の日々、海、山、太陽、食べ物、ワイン、そして人々。しっかり充電して、リスタートです。
柚木たまみ